抵当権の抹消手続にチャレンジ!

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なお、最終更新日は2004年10/28です。
このページでは抵当権の抹消について、解説していこうと思います。 そもそもなぜ、司法書士でもない私が抵当権の抹消手続きをしようかと思ったのかの経緯からお話しましょう。
それは私の親がA銀行の住宅ローン(住宅金融公庫)を前倒し返済した事から始まります。
住宅ローンの返済が終わると、通常は抵当権の抹消義務者である住宅金融公庫や銀行が、 親しい司法書士に依頼して抹消の手続きをしてくれます。 ただしどういうわけか、その際の司法書士への手数料は債務者負担になってしまうんです。 その額、約1万5千円〜2万円。せっかく前倒し返済しても、これじゃ元も子も無い。てなわけで、自分で抹消の手続きをしてみようと思ったわけです。
以下、内容については正確であるよう極力努力をしておりますが、法律改正等による変更・間違いも考えられます。 ですから実際の手続きを保証するものではありませんので、ご了承の上自己責任でご利用下さい。

1.銀行等からもらう書類
2.司法書士から借りる書類
3.その他必要書類
4.登記申請書の記入上の注意(マニュアル)
5.いざ法務局へ登記!
6.書類の受取り
7.感想

1.銀行等からもらう書類
銀行からもらった書類は以下の通りです。
    (イ)金銭消費貸借抵当権設定契約証書
    (ロ)委任状
(イ)は、住宅建設等の資金(長期)として最初に銀行から(もしくは銀行を通じて)お金を借りる際、債務者の方から銀行に差入れた借入証書のことです。 返済手続きが済んだら返却してくれるので、その際は用紙の末尾に「X年X月X日登記済」の法務局の印鑑がある事を 念のため確認しておいてください。ちなみに、 (イ)が一枚ではなく、「金銭消費貸借証書」と「抵当権設定契約証書」の二枚に分かれているケースも考えられますので、 その際は銀行・法務局等で手続きを確認して下さい。 ちなみに「金銭消費貸借証書」のことを略して「金消(きんしょう)」と呼ぶ事があります。
次に(ロ)の委任状ですが、これは実際に登記しに行く人に対して、銀行が出す委任状です。内容は 住宅金融公庫の代理店であるA銀行が、ある物件の登記を誰々に委任します、というものです。 細かい箇所はこちらで記入しますが、書き間違えたら訂正印が必要なので、間違えないように 注意しましょう(金融機関からもらう時に最低でも捨印はもらっておきましょう)。 物件の表示は「X市X町X丁目X番X 家屋番号X番Xの建物」などとします。土地が ある場合は併記します。なおこの場合の表示は、人の住所ではなく登記上の地番所在地なので、くれぐれも 注意して下さい。以下物件に関する物はすべてこの前提で話を進めます。

ここは余談ですが、これらの書類を返却するときに稀に土地の権利書を返却してもらうことがあるようです。 不動産の抵当権設定の際、通常は権利書を一時的に金融機関が預かることはあっても、設定が終わってしまえば、 すぐに権利書は返却してもらえるはずです。ところが金融機関側としては預かりっぱなしでも違法ではないようなので、 返却を忘れている事があるようです。ですから、後日金融機関と紛議を生じないためにも、 金融機関から一連の書類を渡される時に権利書の存在も確認しておいた方がいいでしょう。 権利書が無くても登記はできますが、後々面倒です(具体的な事例・方法については防犯上の観点から、 私のHPでは述べません)。
それともう一つ余談で、抵当権とはそもそも何でしょう?抵当権とはある債務に関して、債務者が借入金等を 返済できない場合に備えて、債権者が担保として不動産などに設定する権利の事を指し、 登記上弁済の優先順位を定めることもできます。ちなみに特定債務に対してのみ設定する抵当権を単なる「抵当権」と呼び、 一連の取引に関して極度額を定めて設定する抵当権の事を「根抵当権」と区別して呼ぶこともあるようです。

2.司法書士から借りる書類
 実は銀行からもらう書類だけでは、抹消登記はできません。 ですから必要書類である以下の(ハ)・(ニ)の書類について銀行に照会したのですが、 向こうも何枚も持っているわけではないので、司法書士の先生に借りるように言われました (確かに私の過去の経験から言ってもその方が手っ取り早い)。 ただ、金融機関によっては直接これらの書類を貸してくれる所もあるようです。 何度も使えるものなので(ただし有効期限は3ヶ月程度と思われる)、 司法書士に借りるにしろ金融機関に借りるにしろ原本は、それぞれに返却します (これがいわゆる原本還付請求の意味です)。
    (ハ)現在事項一部証明書
    (ニ)委任状
(ハ)については、他の名前の登記証明書でも構いません。要は代理人等に関する事項が次の(ニ)の委任状の 人物と照合できれば問題ありません。場合によっては代理人変更などで変更証明書が必要なケースもあります。
(ニ)の委任状は、住宅金融公庫がA銀行に業務権限を委託してるよ、っていう内容です。 ですから実は委任確認の流れとしては、書類上(ハ)→(ニ)→(ロ)なわけです。ただ個人的には、 それぞれの委任状の印鑑が本物かどうか法務局は本当に確認してるんだろうか、っていうのは 甚だ疑問ですが、無視します(^_^)。ちなみに(ハ)(ニ)の委任状は、私の場合司法書士さんが親切に タダで貸してくれましたが、貸してくれなかったり有料だったりする事も考えられますので、 その辺は事前に司法書士を銀行にしてもらっておくのも一手でしょう。

3.その他必要書類
    (ホ)委任状
この(ホ)の委任状は、登記権利者(登記上の物件の所有者)本人が法務局に手続きに行く場合には不要です。 なぜなら(ホ)の委任状の内容が、登記権利者が窓口に行く代理人に手続きを委託したよ、っていう内容のもの だからです。
書式については任意らしいのですが、いくつか絶対に必要な項目もあります。 ですから、各地の法務局の窓口にその書式が置いてあるはずなので、それを参考にして下さい。 ちなみに私は法務局でもらった白地の用紙をそのまま使いました。登記権利者の捺印は、実印でなくても 大丈夫でした。物件の表示欄も忘れずに記入しておきましょう。

4.登記申請書の記入上の注意
あとは登記申請書を作成すれば、必要書類の段取りはすべて整います。 白地については法務局のページ からリンクをたどるか、Web上で白地(Doc形式,Word)を公開していらっしゃる方もいるので検索して探してみてください (書店で参考書を買ってしまうのも一つの手です。手間が省けます)。 ここでは記入の注意点を申し上げたいと思います。
書式は必ずB4サイズの縦書きで、中央は文字が来ないように調整します。後で折り曲げられるようにする為です。 私は家でA4サイズでプリントして、 コンビニでB4に拡大コピーしました。ちなみに昔と違って、和紙でなくても構いませんし、手書きでも構いません。 出だしは右端に「登記申請書」と大きく書きます。 その後、私の場合、以下の順番で項目を記入していきました。
@登記の目的は「抵当権抹消」と記入(「」は不要。以下同じ)。本によっては上に「何番」と記入例に書いてある物も多いが、 私の場合、土地と建物両方に抵当権が設定してあってそれぞれ順位が違ったので、特に書かなかったが、 問題ないと法務局の人に言われた。それに権利関係が複雑になっていたら何番抵当権なのか素人には分かり づらい面もあるので(謄本の乙区とか設定契約書を見れば分かるが)、書かない方が無難だと思います。
A原因:「平成X年X月X日 弁済」などと書きます。数字は壱、弐、参などの多画文字を使います。 ただし設定時の原因が、保証委託契約による求償債権だった場合などは、弁済ではなく「主債務消滅」とするので注意。
B抹消すべき登記:「平成X年X月X日 受付 第壱弐参四八号」などと記入する。
C権利者:不動産の所有者ですね。私の場合「X市X町X丁目X番X号 X山×郎」と書きました。一律ではないでしょうが、 都道府県名は無くてもいいのかもしれませんね。住所は前の申請書を参考に書いたのですが、多画文字と普通の「二」などが 混在してましたが、間違いではなかったようです。この辺はよく分かりません。
D義務者:「東京都X区X丁目X番X号 住宅金融公庫」と書きました。場合によってはここに銀行名が来ます。
E添付書類:「申請書副本 登記済証 代理権限証書(包括委任状及び資格証明書原本還付請求)」と記入しました。 二行になっても構いません。この時、申請書副本が登記申請書のコピー(だから登記申請書は同じものを二枚 準備します)のこと、登記済証が私の場合(イ)の金銭消費貸借抵当権設定契約証書、代理権限証書が (ハ)・(ニ)の書類、に当たります。
F平成壱六年壱〇月弐弐日 申請 XX法務局XX支局御中、などと記入しました。
G代理人:「X市X町X丁目X番X号 X山×夫」と記入しました。名前の下に認め印が必要です。 ただここは「代理人」という文言が良いかは分かりません。私は最初「申請人兼義務者代理人」としていた のですが、法務局の人に「代理人」に変更を勧められました。各地で取扱いが違うかもしれないので、 念のため確認した方がいいかもしれません。
H登録免許税:「金弐千円」。私の場合土地・建物両方だったので、二千円。片一方なら千円。
I不動産の表示は私の場合、「不動産の表示(土地壱筆、建物壱個)」と表題をした後に、 所在・地番・地目・地積、一行空白を開けて、所在・家屋番号・種類・構造・床面積、の項目を列挙して記入した。 これらはどうやって調べるかと言うと、前の申請書の控えを見るか、権利書を見るか、お金がかかるので あまりお奨めはしませんが土地建物の謄本を取って、それを見て記入するのが一番正確です。不動産の謄本の 取り方は後述します。
ちなみに分譲マンションなどの抹消の場合は、不動産の表示が少し複雑になります。「一棟の建物の表示」 「専有部分の建物の表示」「敷地権の表示」などになりますので、不動産購入の際の資料・権利証などを 参考に作成をお願いします。

5.いざ法務局へ登記!
私の場合、登記申請書が正しいかどうか申請日よりも前に相談窓口を訪ねたが、 書類の説明・チェックはサラッとはしてくれるが、地番が合ってるかどうかなどの 具体的な事は申請前にチェックできない、と断られました。 それもそうですよね。皆から受け付けてたら、大変ですもんね。すみませんでした。
で、申請当日司法書士から書類を借りて、持って行くものを再度確認。
    (イ)金銭消費貸借抵当権設定契約証書
    (ロ)委任状
    (ハ)現在事項一部証明書
    (ニ)委任状
    (ホ)委任状
    (ヘ)登記申請書2枚
    (ト)認印
司法書士の先生から借りた(ハ)と(ニ)は、法務局に行く前にコピーを取っておきましょう。 コピーを取った物は、原本と一緒に法務局に提出します。 コピーに法務局の職員さんの「原本還付」の担当印がもらえれば、コピーがそれで初めて有効な書類に なりますので、この時点で(ハ)と(ニ)の書類が役目を果たし返却可能になります。 コピーには「本書は原本と相違ありません」と職員さんの指示通りに記入して、記名・捺印 (登記申請書に使ったものと同じ印鑑)をします。 (ト)の認印はこの時使うのです。私の場合、書類一式を登記相談窓口に提出すると、 相談員の人が手早く整理・製本していき、製本後に認印は割り印のために何度か使いました。
また申請の際には、土地建物それぞれについて千円ずつの収入印紙が添付必要になります(くれぐれも登記印紙では ないので、ご注意を)。収入印紙も登記印紙も法務局の別の窓口で売っています。当日の流れとしては、私の場合、 登記相談窓口→印紙売り場→登記申請窓口というものでした。ちなみに 不備があった場合でも一年以内なら、登記は再申請できるので、失敗しても収入印紙は無駄にはならない と思われます。
さて、登記を申請すると整理券みたいな紙をもらいます。 数日後(目安の日にちは指示があります)に電話で登記が終了したかを法務局に確認した後、 認印を持参してきてくれとの指示を受けて、その日は手続きを終了しました。 司法書士の先生に書類を返却するのを忘れないように。

6.書類の受取り
3営業日後電話で確認が取れたので、法務局に再び来所。受取りの認印を押した後、 抹消済の印が据わった(イ)と、受付印の据わった(ヘ)の1枚が返却された。
通常ここで終わりなのだが、念には念をという事で、謄本をとってみる 事にした(ちなみに司法書士さんはお客の為に登記後の証拠で結構取る)。 さて謄本の取り方だが、不動産用の登記事項交付申請書に地番を記入。地番は返却された登記申請書を見ても 分かるのだが、備え付けのゼンリンのブルーマップでも調べられる。ブルーマップ上では 青い数字で書いてあるところが、何丁目以降の地番になる。申請書の下段に共同担保目録が 必要かどうかの欄がある。共同担保目録は、その不動産のみでは融資額の担保として 不足している場合や、複数の不動産でなければ価値があまり無い場合に設定される。 どうせだから、私はつけてもらうことにした。 登記印紙代は、土地建物それぞれひとつにつき千円。 この時は収入印紙ではないので、くれぐれも注意する事。 そして交付された謄本でも抹消が確認され、ひと安心。

7.感想
結構素人がこれをするのは、大変だと思います。私の場合、法律関係はある程度分かっていたので、 書類を見るのはそんなに苦ではなかったですが、実は登記申請書を作るのが結構面倒でした。 言葉遣いは一文字違っても不備だろうし、段は合わせるのに気も使うし。
やはり調べるのに、時間がかかりますね。司法書士さんの場合、もういくつかパターンがあるから 文言にも気を使う事も無いでしょうけど、初めてだったのですごく時間を使いました。 でも確かに手続き自体は難解ではないので、自分でできなくはないですけど、根性のない人にはあまり 勧められませんね。ただもう一回やるんだったら、私はまた自分でしますね。要領がもう分かったので。

いかがだったでしょうか?皆さんも参考にされて下さい。













































































































































































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なお、最終更新日は2004年10/28です。
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